大地震に備えて確認したい20のことば。

大地震に備えて確認したい20のことば。

  • 家具を置く場所や置き方について考えるとき、どう地震対策をすればよいかが分からない。
  • 家具が倒れて下敷きになってしまったときの救命方法までは考えられていない。
  • 備蓄はしているが、気が付くと賞味期限切れになっていることがある。

生活のなかに地震への備えを取り入れ、地震発生時に瞬時に意思決定を行うことを支援する新しい方法です。

サバイバル・ランゲージは、地震への備えや地震発生時の行動としてよりよいと分かっていることを、覚えやすく実践しやすい形で共有できるようにしたものです。防災に関する研究を行っている慶應義塾大学環境情報学部の大木聖子研究室と井庭崇研究室との共同研究により制作されました。

この制作背景には、大地震を何度も経験してきた日本においても、地震への備えや発生時の行動についての教訓が十分には継承されておらず、悲劇が繰り返されているという問題があります。日本では、過去に大きな震災を経験したことで、社会インフラ、情報通信の整備は進められています。しかし、そのようなマクロな社会インフラ整備に比べ、人々のミクロな行動への支援策は十分とは言えません。このような状況において、自分たちの生活のなかに地震への備えを取り入れ、地震発生時に瞬時に意思決定を行うことを支援する新しい方法として「サバイバル・ランゲージ」がつくられました。

サバイバル・ランゲージでは、地震への「備え」、地震の「発生時」、そして地震「直後」の行動の知恵が、合計20個、名前をつけてまとめられています。覚えやすい「言葉」になることで、日常生活でその知恵に触れ続け、定着させることができます。

これらのカードを見ながら、ぜひ家族や友人、同僚、近隣の方と、大地震を生き抜くための行動について話し合い、備え、大地震が発生した際には実践するようにしてください。

保育園や学校での地震の指導について、十分ではないと感じている方におすすめしたいです。

保育園で子どもたちに地震のことを話す際に使っています。避難訓練はしているため、地震がおさまった後にどう動けば良いのかは体で理解させることができていますが、地震の最中の身の守り方は、子どもたちは防災頭巾をかぶって座っていること以外には、よく分かっていません。実際には、そのような余裕がない場合もあると思うので、このカードを使用して何度か話しています。

イラストが入っていて、覚えやすいタイトルがついているので、園児でもいくつかは覚えています。イラストや音でいくつかでも覚えていれば、たとえ保育士の眼が届かなくても子ども一人一人がとっさに身を守るためにできることが増えると思っています。

保育園や学校での地震の指導について、十分ではないと感じている方におすすめしたいです。

40代/女性/教育関係

  • いざ大地震が起きたときに取るべき行動について、あまり知識がない。
  • 避難ルートや場所の確認だけでは、少し不安。

サバイバル・ランゲージ<カード>

20個のコツが1枚1枚のカードに分かれています。カード見ながらみんなで話し合ったり、掲示しておき、日常的に目にすることで記憶に残していったりすることができます。

  • 大地震を生き抜くための知恵が書かれているカード・セット。
  • パターン・カード20枚、インストラクション・カード1枚を含む計25枚のセット。
  • カードはB6サイズ。市販のA5サイズ用ケース等に収納してお使いいただけます。
  • 緊急時の行動について「かわいいイラスト」付きでまとめられているので、親子でのコミュニケーションにも適しています。
  • カードを用いて、自分たちの備えや地震発生時の行動方針をチェックしたり、地震や防災について話し合ったり、新しい防災訓練をデザイン・実施することにご活用ください。

収録パターン

  • 【Introduction】

    サバイバル・アクション・ギフト

  • 【備え】

    安眠の領域 / 収納地帯 / ドア・スペース /
    逆L字固め / 噛みつき固め / テレビの根づくり /
    余分買いの備蓄 / 備蓄の普段使い / 救命バール

  • 【発生時】

    家具より命 / 忘火 /
    もぐりつき / ダンゴムシ・ポーズ

  • 【直後】

    そのときどきの判断 / 逃騒リーダー / オフ・ブレーカー /
    キック・シグナル / ビニール・トイレ / あの手この手の連絡

安眠の領域

【英語版】Survival Language: A Pattern Language for Surviving Earthquakes (By Tomoki Furukawazono & Takashi Iba with Survival Language Project)<書籍>

日本語版のサバイバル・ランゲージと内容は同じで、英訳されたものです。カードではなく、パターンカタログ形式の冊子になっています。

よくある質問

Q.避難訓練だけでは足りないのでしょうか。

有事の時にすべき行動をリハーサルしておき、混乱のなかでも適切な動きが取れるようにするということはとても大切なことだと思います。避難訓練だけで十分かどうかはケースによるので分かりませんが、サバイバル・ランゲージは、避難訓練等とは異なるアプローチで地震による被害を抑えようとしているものです。

サバイバル・ランゲージでは、効果があると言えることを「言葉」にすることで、それについて話したり、思い出しやすくなるということを狙っています。

例えば、言葉になっていることで、組織的に会話がしやすくなります。「今月の《ドア・スペース》の確認をお願いします」「どの部屋も《テレビの根づくり》はできていますか?」「《忘火》をしなくて済むように、給食室の消火器の配置を考えてみよう」など、防災に関する会話が生まれ、備えを考える機会を増やすことができます。また、日ごろから《もぐりつき》《オフ・ブレーカー》《キック・シグナル》などの言葉に親しんでいることで、その内容やイラストが記憶に残り、とっさの中でも大切なことを思い出し、実行しやすくなります。

地震の際にどうしたらよいかについて、ケースに応じた大量の情報を覚えておくことはなかなかできませんので、瞬時に思い出すことができ、状況に応じて判断ができるように「言葉」にしておくというのが、防災×パターン・ランゲージによる取り組みの目的です。

定められている避難訓練等と併せて、使っていただけたらと思います。

Q.地震への対応はこれだけでなく、他にもあると思うのですが。

はい。サバイバル・ランゲージでは、ある程度の数の事例から導き出された、「こうすると良い」という内容を提示していますが、この20個が地震対策のすべてだというわけではありません。無数にあるであろう地震への対策やその場での判断の中で代表的だと思われるものをパターン化したものです。

地震に対して「こうすると良い」という考えは他にもたくさんあり、多くは専門書や公式のマニュアルのようなもので示されていたり、また、お住まいの地域の言い伝えなどの形で残っているものもあるのではないかと思います。そういったものと併せて、ひとつの情報としてご判断ください。

Q.地震だけではなく、その後に起こる火災や津波などのカードも必要なのではないですか?

はい。この「サバイバル・ランゲージ~大地震を生き抜くための知恵~」は、地震にフォーカスしてつくられたものですが、その先に二次災害として起こりうる火災や津波、また大雨による水害や土砂崩れなど、それに対する備えやその場の判断が伝承されていた方がよい災害は他にも多くあると思います。

それらもパターン・ランゲージ化できれば役立つとは思いますが、制作においては、知見をまとめて持っている方のご協力や、また、つくろうと主体的に動く人(組織)が必要なため、現時点では制作されておりません。

何かが起こった時の判断を言語化し、伝承していくことで命を守っていく。

日本は自然災害の多い国であり、被災時にどのような判断をすればよいか、また被災後にどうすれば良いか、被害を少なくするための事前準備にどのようなものがあるかなどが、広く使いやすい形で伝承されていることはとても重要だと言えるのではないでしょうか。

この「サバイバル・ランゲージ」は、そのような社会課題に対し、パターン・ランゲージという新しい知の伝承方法を使ってみようという、アカデミックかつ学際的な研究を背景としてうまれたものです。

このような課題への取り組みの難しさは、いくつかあります。ひとつに、様々なパワーや予算は、今困っていることを改善する・解決するという動きに注がれがちで、予防的なものはどうしても後回しということ。また、こういった備え・防災などの公共的なテーマについては、誰かが主体的に動いていくという判断がされにくいことなどがあります。

実はこれまでも、街づくりを業とする会社さんや大きな企業のCSR活動として、他の災害に対するサバイバル・ランゲージをつくってみたいというお話はありましたが、どれも実現には至りませんでした。

パターン・ランゲージは、知を伝承する方法として、他の方法とは違う特性を持っています。共有されるべきことの本質を自分事としてとらえ、状況に応じた具体的な行動を生み出しやすくする点や、生活の中で活かされやすい形で記憶に残る点、そのことに関する会話が生まれやすい点などは、過去の災害経験で得られた知恵を後世に残していく手段として適した特性ではないかと思われます。

パターン・ランゲージ・カンパニーである私たちとしては、何かが起こった時の判断を言語化し、伝承していくことで命を守っていく、公の利益をつくっていくという動きが、パターン・ランゲージという方法があることで可能性が拡がり、活性化していけばと願っています。

サバイバル・ランゲージ<カード>

20個のコツが1枚1枚のカードに分かれています。カード見ながらみんなで話し合ったり、掲示しておき、日常的に目にすることで記憶に残していったりすることができます。

  • 大地震を生き抜くための知恵が書かれているカード・セット。
  • パターン・カード20枚、インストラクション・カード1枚を含む計25枚のセット。
  • カードはB6サイズ。市販のA5サイズ用ケース等に収納してお使いいただけます。
  • 緊急時の行動について「かわいいイラスト」付きでまとめられているので、親子でのコミュニケーションにも適しています。
  • カードを用いて、自分たちの備えや地震発生時の行動方針をチェックしたり、地震や防災について話し合ったり、新しい防災訓練をデザイン・実施することにご活用ください。

【英語版】Survival Language: A Pattern Language for Surviving Earthquakes (By Tomoki Furukawazono & Takashi Iba with Survival Language Project)<書籍>

日本語版のサバイバル・ランゲージと内容は同じで、英訳されたものです。カードではなく、パターンカタログ形式の冊子になっています。