- 若手に寄り添っているつもりでも、本音や悩みをなかなか打ち明けてもらえない。
- 仕事の指導をしているうちに、関係性が悪化してきてしまうことがある。
- 現場の担当者が仕事を楽しんでいるように見えない。
未来を提示する「リーダー」と、日々をつくる「現場」とをつなぐ「ミドルリーダー」。自らを「黒子」と呼ぶこともあるように、周りからは何を考え、どう動いているのかは見えにくいものです。さらに実は、当人たちもその多方面への複雑な気配りや多種多様な業務の中で、自分が何に向けて何をしちえるのかをつかめずにいることも少なくありません。
様々な人、コトをつなぎながら、人を育て組織を前進させる「ミドルリーダー」の考え方を27の言葉にまとめました。
園づくりのことばでは、公立・私立の幼稚園、保育園、認定こども園でよい園づくりの実績を出しているミドルリーダー(主任や副園長)の方々から抽出した日々の考え、行動を27個のことばにまとめました。そこには、未来と今をつなぎ、園内の関係をつなぎ、園の内外をつないだりしながら、自分自身とメンバー、そして園を成長させていく姿が浮き彫りになっています。
このカードを通じて仕事を見直したり、複数人で話し合ったりすることで起こることは、ミドルリーダー本人たちが自分の仕事をより良くしていくだけではありません。改めて可視化されたその観点や工夫を周囲の方が知ることで、まとまってひとつの方向を向くことができ、全員でより良い園をつくっていく動きにもつながっていくでしょう。
また、本作は「園」をサービスの現場として制作されたものですが、各パターンの本質は一般企業や他の教育機関、自治体などの「ミドルリーダー(中間管理職)」と相通じるものです。関係をつなぎながら組織と人を成長させる役割を担っている方々は、ぜひ現場の登場人物や業種・業態を置き換えながら、本作を自身の仕事に役立ててみてください。
ミドルリーダーに限らず、全ての保育者におすすめしたい。
4月に法人内の主任・ミドルリーダーの勉強会で使用(約60人ほど参加)。主任経験が長い保育者もいるが、主任になったばかりの保育者も入るため、まずは主任・ミドルリーダーの仕事とは何かをみんなが認識をあわせるためにカードを使用。気になったカード、取り組んでみたいカード、実践しているカードなど、それぞれで選んでもらい、フラットに話をするグループワークを実施。その後、レーダーチャートを用いて、自分自身の取り組み状況や自園の状況を見える化するワークを実施した。「自分の仕事が言語化されて、とてもわかり易かった」「このカードを園のメンバーと使って、自園の状況を一緒に見える化したい」というコメントが多かった。
ミドルリーダーに限らず、全ての保育者におすすめしたい。
40代/女性/保育
自分がやってしまっている良くないことにも気が付けましたし、そう考えるといいのか!と思うものあり、そのページは何度も読み直しています。
私は保育関係の仕事ではなく、一般企業で管理職をしています。会社の同僚に勧められて初めに「園づくりのことば」の本を購入しました。保育園や幼稚園が舞台ですが、自分のミドルリーダーとしての仕事に通じるところも多々あり(というか、関係のないものは一つもないくらいです)、自分がやってしまっている良くないことにも気が付けましたし、そう考えるといいのか!と思うものあり、そのページは何度も読み直しています。その後、手元において気軽に見返したくて、カードも購入しました。事例がビジネスビジネスしていなくて、子どもたちとのほっこりした日常なのも、とても気に入っているところです。子どもと保育士さんというよく知っているシーンでイメージができるので、お堅い理論よりかえって馴染みやすいような気がしています。
ミドルリーダー本人だけではなく、すべての会社員にお薦めしたいです。
40代/女性/サービス業
一つひとつのことばの大切さが伝わり、今の自分の状況を考えたり見直したりするきっかけになった。
また、年齢問わずその園の経験年数でのミドルリーダーを育てていくということにも感銘をうけた。多くの職員にいろいろな力が秘められているので、どんどんよい部分を表現させてあげたいと思った。
- 園長と現場の保育者の問題意識に違いがあり、話がかみ合わない。
- 若手が仕事の楽しさを味わえないような日々になってしまっている。
- 業務上の関わりとしては問題がないが、それ以上のコミュニケーションが生みだせていない。
園づくりのことば<カード>
- 幼稚園や保育園、認定こども園等の主任保育者や副園長に焦点をあて、その実践の知恵を27枚のカードにまとめたものです。
- カードはA6(105×148mm)でミーティングなどの場で使いやすい大きさになっています。コーティングがされており、繰り返しの使用が可能です。 ケースと説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
- 書籍版「園づくりのことば」(丸善出版)の内容を対話用に抜粋したものです。複数人で対話について考えていく用途に適しています。
本作は平成28年度から30年度にかけて行われた東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターと、慶應義塾大学井庭研究室の共同研究の成果「園づくりのことば」をカード形式にしたものです。
収録パターン
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【保育者が成長できる環境をつくる】
自分の発見から / 見通しのひとこと / やる気がでる手助け /
日頃のおしゃべり / ひと呼吸おく / がんばりへのリスペクト /
楽しむきっかけ / 学びへの変換 / 原則に立ち戻る -
【人をつなぐことで子どもが育つ場をつくる】
あいだの通訳 / 声のすくい上げ / みんなで育てる /
経験のミックス / 会話が生まれるしかけ / 根底の思い /
意義の共有 / 信頼の橋渡し / ともに育てるパートナー -
【保育についての既成概念をつくりかえていく 】
ワクワクの素材 / 魅力的な実践見学 / 新たな試み /
より大きな意味での保育 / 子どもたちとの時間 / 充電タイム /
園を超えた交流 / 強みの芽 / 未来のリーダー
『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(井庭崇, 秋田喜代美編著, 野澤祥子, 天野美和子, 宮田まり子著)
よくある質問
- Q.ミドルリーダーは組織にひとりなのですが、誰とどのように使うとよいでしょうか。
-
園の中での研修や話し合いの際に、他の立場の方とともに使ってみてください。現状について意見を聞いたり問題点を話し合ったりする際に、このカードをテーマにしてみると、より保育士さんの意見を引き出すことができるようになるでしょう。また、ミドルリーダーが目指していることが伝わりやすくなるため、よりよい園にしていくために力を合わせやすくもなります。もし、園や部署をまたいでミドルリーダー同士で話し合う機会があれば、ぜひこのカードを元に対話をしてみてください。各園での具体的な取り組みは、各園のカラーが反映されるためバラバラに見えますが、実は共通することは多く隠れているものです。カードを軸に事例や意見を交換することで、共通点が見えやすくなります。また、同じカードであっても、各園の具体的な実践例は多種多様であるため、他の園でどうしているかを知りたいことなどについて、効果的に事例や意見の交換をすることができます。また、園長や上司に現場の状況を伝える際にも使うことができます。現場で何が起こっているのか、なぜそうなっているのかなどを客観的に示すことができるため、建設的な議論にしていくことができるでしょう。
企業の方は、上記をご参考に、部下や上司、また社外や他部署のミドルリーダーとの意見交換のツールとして使っていただくことができます。
- Q.幼稚園や保育園と、ビジネスシーンで共通点は見いだせるものですか?
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園のミドルリーダーの行動・考えを抽出したところ、多くの要素は「間に立って組織と人を育てる」人が皆、考えているといえるものでした。業種や業態、組織規模などにかかわらず、これらを取り入れることで良い結果をもたらすと言えると思います。ミドルリーダーは、どこにいてもミドルリーダーとして似たような思考、工夫をしているということなのでしょう。
実は、子どもという大切な存在を日々丁寧に愛情をもって育てている保育の現場は、他の業界に比べても、顧客のこと、自分たちのサービスのことをきめ細やかに考えているのではないでしょうか。また保育現場は、”子ども”という予定調和を前提にできない対象に向きあい、利益率や時間効率による議論の影響を受けにくい分、サービスの本質に純粋に向かい合っている現場ともいえそうです。
例えば、「園づくりのことば」の27個のコツは、大きく分けると3つのカテゴリーに分かれています。「保育者が成長できる環境をつくる」「人をつなぐことで子どもが育つ場をつくる」「保育についての既成概念をつくりかえていく」の3つです(それぞれに9つのコツがあり、計27個となります)。「保育者」をご自身の現場担当者に、「こどもが育つ」を業務やサービス内容に、「保育について」を業界やサービスドメインに置き換えてみると、ご自身の業務にそのまま当てはまるという方も多いのではないでしょうか。
園のミドルリーダーや保育者が自分事として内容を考えやすいよう、具体的な記述は「園で」「子どもが」「保育者が」「保護者が」などのことばで書かれていますが、他の仕事をお持ちの方は、それらを読み替えながらお使いください。そのようにして少し抽象的に捉えることで、ほぼすべてのパターンを業務にいかしていただくことができると思います。異業種からのコツを取り入れることで固定概念がはずれ、新しいブレークスルーが見られることも多々ありますので、ぜひ試してみていただきたいと思います。
これらのコツは、理想論やあるべき論ではなく、すべて現場で実績を出している内容です。
決まったサービスを効率よく、品質良く提供する、決まった業務をそれぞれで分業してこなすことで価値をつくってきた時代は、すでに終わろうとしています。年齢や経験に関係なく、それぞれの観点や興味、個性を活かし、またそういった多様な価値観の交流の中で新しい発想を生んでいくことが求められる中で、様々なもの・コトをつなぐミドルリーダーの果たす役割はその組織の未来を左右するほど大きなものとなっていくでしょう。
一昔前の上意下達の通過点としてのミドルリーダーではなく、新たな価値を生み出していくミドルリーダーが多くの業界で増えていくことは、少し大げさにいえば国の創造性にも影響します。本作に含まれるコツは、理想論やあるべき論ではなく、すべて現場で実績を出している事象から拾い上げています。それらが業種を越えてミドルリーダーたちの交流を促し、時代を取り入れながら議論され、それぞれが自身の力を上げて自分の現場でより良い商品・サービス・組織をつくっていくきっかけとなれば、大変嬉しく思います。
園づくりのことば<カード>
- 幼稚園や保育園、認定こども園等の主任保育者や副園長に焦点をあて、その実践の知恵を27枚のカードにまとめたものです。
- カードはA6(105×148mm)でミーティングなどの場で使いやすい大きさになっています。コーティングがされており、繰り返しの使用が可能です。 ケースと説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
- 書籍版「園づくりのことば」(丸善出版)の内容を対話用に抜粋したものです。複数人で対話について考えていく用途に適しています。
本作は平成28年度から30年度にかけて行われた東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターと、慶應義塾大学伊庭研究室の共同研究の成果「園づくりのことば」をカード形式にしたものです。
『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(井庭崇, 秋田喜代美編著, 野澤祥子, 天野美和子, 宮田まり子著)
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