すべてのケアの現場に届いて欲しい30のことば。

すべてのケアの現場に届いて欲しい30のことば。

  • おじいちゃん、おばあちゃんがいきいきと毎日を過ごせるあたたかな場所をつくりたい。
  • 家庭での介護に行き詰まっている。
  • 高齢者を理解し、優しく接することができるようになりたい。

おじいちゃん、おばあちゃんが、「ここで暮らせて本当によかったなぁ」と心から思う高齢者向けホームって、どういうところでしょうか?

いきいきと毎日を過ごし、なじみの仲間もいるあたたかな居場所。ケアをする人・される人という関係を超えて、その場のみんなが「ともに生きる」ことができるホーム。地域や社会とつながり、生きがいを感じながら、日々を過ごすことのできる活動の場。最期までやさしさに包まれながら、人生を全まっとうできる場所。

これらすべてが込められているような高齢者向けホームなんてあり得ないだろうと思われるでしょうか。いいえ、そんなことはありません。これらすべてが実現できているホームは、実際にあるのです。

それでは一体、どのようなことをすれば、そのような「ともに生きる」ホームをつくることができるのでしょうか? 「ともに生きることば」には、そのための考え方や新たな実践をするためのヒントがまとめられています。

「ともに生きることば」では、高齢者向けホームをつくり運営する人と、そこでケアに従事する人の視点に立って、「ともに生きる」ホームを実現するために大切なことが、30個の「ことば」になっています。「ともに生きることば」で提示するのは、実際に取り組むときに参考になる、実践のあり方とその背後にある考え方です。提示している「ことば」は、上で述べたようなホームを実際に実現されている方々にインタビューし、参与観察も交えて、ケアと場づくりにおいて大切なことの共通パターンを抽出しました。

この30個の「ことば」を用いて、どのように自分たちの実践をよりよくしていけるのか、そして、どのように研修などで用いることができるのかについても、具体的方法と体験者の声を紹介します。ぜひ、それらを参考にしながら、「ともに生きることば」を日々のケアで実践してみてください。

なお「ともに生きることば」は、入所、通所、訪問などの形態によらず、ケアを必要とする人たちの暮ら しを支えるさまざまなサービス事業所でご活用いただけるようになっています。また、高齢者ケアの文脈や例を用いて書かれていますが、「ともに生きることば」が示す実践のあり方と考え方は、さまざまな優れた事例からケアの本質に迫ったものになっています。ですので、高齢者ケア以外のさまざまなケアにも通じる内容になっています。たとえば、障がいのある方のケアや子育て、教育などにあてはめて読んでいただいても、それぞれの中で活かせることがあるでしょう。その際は、直接的に高齢者ケアを示す言葉や例を紹介している部分については、適宜、ご自身の状況に置き換えながら参考にしてみてください。

ぜひ多くの方に、「ともに生きることば」をヒントにしながら、自分たちなりのケアと場づくりを実践していっていただければと思います。高齢者ケアがますます大切になっていくこれからの時代において、「ここで暮らせて本当によかったなぁ」という声が溢れていくことを願っています。

ケアする人、ケアを必要とする人が「ともに生きる」場を実現するための秘訣。

「ともに生きることば」は、高齢者向けホームをつくり運営する人と、そこでケアに従事する人を主な対象として、そこで過ごす方々と「ともに生きる」ホームを実現するための秘訣をまとめたものです。ですが、誰もが介護に関わる時代の今、専門職以外のみなさんにもぜひご家庭での介護を考える際にお使いいただきたいと思っています。

これは業界にとって必要な本ですよ。

たとえば、「自力できちんと見守る」ということの理由と、結果まで、きちんと文字になってるものってないからね。自立支援だ、自立支援だって言ってるけど、自立支援って何っていう定義があまりにも大きいし。

それがぎゅってなってる。今の業界が目指すべきところがひとつに収まっている感じがあって、セレクトショップみたい。

たとえば、「本人が自分で行うことを見守り、必要な時だけ手をさしのべるようにします。」ってなかなか言えないけど、これこそが本当の介護だからね。

40代/男性/施設経営者

とても共感できることば、驚かされることばでした。

未来をつくることは、地域共生社会のキーワードになると思います。そもそもを疑う。それらがつまったパターンになっています。

先進事例のアイデアを自分と寄せて考えることで、これから起こりうるリスクや自分たちの枠を超えたアプローチが可能になると思います。

30代/男性/作業療法士

この「ことば」をよくぞ入れてくださいました。

とても分かりやすいです。「その人」が、イラストで表現されているのも、とても良いと思います。性差や年齢など関係ない、「その人」をイメージできます。

人生を全うする支援は、支援する立場としては、エネルギーを要するカテゴリーかなと思います。支援する側の力の差が出る部分とも思います。その中の、No.25の「支え抜くチーム」。この「ことば」をよくぞ入れてくださいました。医師、地域包括、家族、という立場を表す言葉を入れないで、まとめている点も、とても良いと思います。

50代/女性/ケアマネージャー

パターンランゲージは、困った時の頼れる方針であり、また、道の先を照らす明かりとも言えるでしょう。

父を見送ったときはギリギリまで家庭内での支援だったため、「これまでの習慣(No.2)」には特に変化はありませんでした。代わりに日常的に支援をしてくれている姉・兄たちへ「笑顔が生まれる場(No.9)」を増やすようにすべきでした。

今後は母が支援の対象となるため、改めて笑顔を増やしていきたい。パターンランゲージは、困った時の頼れる方針であり、また、道の先を照らす明かりとも言えるでしょう。

50代/男性/介護家族

介護職よりも、家族に良いのではないか。

「ともに生きる」ということで、介護する人とされる人は、車の両輪ということ。どうしたって、どちらかに不具合が生じたら、止まっちゃうじゃない。だったら、その時に「ともに生きることば」は使えると思った。

全部を読んで何かわかるというよりかは、一個を紐解いていって、それを紐解いたら全部がほぐれるような気がする。そのほぐれるところを掴むきっかけとして良い。読んで、うーん、そうだそうだって考え始められるから。

60代/女性/ケアマネージャー

介護に関わるものとして、大切な言葉が多く身に染みました。

介護の役割は冊子に書かれている通り「その人らしく生きる暮らしを一緒につくる」ことです。そのために必要な情報が入っており、何より一歩目を気軽に踏み出すことができる。そして、実体験と結びつきやすく「自分の近くにいるあの人は…」とイメージがしやすいこと。

カードを使ったワークショップは、教材では伝わりづらいところが伝わりました。文字だけでは説明が難しいことも、絵と対話で理解できます。実例を出しながら進めると実習生も、理解が進みました。また、実習生同士でも違う返答があり、それをもとに「なんでそう思ったか?」を聞くことによって【同じことも受け手によって感じ方が違う】ことをワークショップを通じて実習生に体験してもらえたことがよい。「私はこう思いました」「この人だと思いました」「私はあの人」「私はその人」と違う中でも似たようなことがあり、違いを発見し認めあうきっかけになりました。

30代/男性/介護福祉士

この冊子のどのページにも深く共感し、頷きながら読みました。

私は大学の看護学生の実習で高齢者ケアを教えています。この冊子のどのページにも深く共感し、頷きながら読みました。実習中に大事だと思う様々な場面が丁寧に言語化され、整理されているので、学生たちにはぜひともこの冊子(あるいはカード)を読んで学んでほしいと思いました。

その人らしく生きる支援が大切だと思っていても、具体的にどうすればいいのか悩むということが過去に何度かありました。この冊子には、具体的な提案や状況の理解に役立つ説明が書かれているので、読んでいると安心感が湧き、支援を前向きに考えられると思いました。

30代/女性/大学教員

このヒントがあればきっと救われただろうな…

以前、膵臓がんの50代の患者さんとそのご家族を取材したことがあるのですが、最期にどう向かっていけばいいのか、正直ご家族は分からないまま、これでよかったのかと思い続けながら今も過ごしていらっしゃいます。夫の「死」、父親の「死」、そして自分の「死」があまりにも怖くて直視できなくて、何も話せないままでした。そんな家族の形もあるし、それが悪いことだとは思っていませんが、このヒントがあればきっと救われただろうな、この冊子を読みながらご家族で話せたらよかったのかなと思いました。

それぐらい、当たり前にできてほしいけれど、やはり難しいんですよね。少しでも広まってくれたら嬉しいです。

40代/女性/番組ディレクター

「ともに生きることば」は、ケアと場づくりについて考え、みんなで話し、より上手く実践できるようになるためのツールです。
「ともに生きることば」の内容は、実際に「ともに生きる」ホームを実現している人たちへのインタビューを元につくられています。彼らが日々考え、実践している様々な工夫や具体的な行動をお聞きし、分類や整理をしていくことで、他の方々もその知恵を活用していけるような形にしました。

ともに生きることば<カード>

  • 高齢者向けホームをつくり運営する人と、そこでケアに従事する人を主な対象として、そこで過ごす方々と「ともに生きる」ホームを実現するための秘訣を30枚のカードにまとめたものです。
  • カードはA6(105×148mm)でコーティングがされており、繰り返しの使用が可能です。 ケースと説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
  • ケース(9.7×13×1.6cm)と説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
  • 書籍版「ともに生きることば」(丸善出版)の内容を対話用に抜粋したものです。複数人で対話について考えていく用途に適しています。

収録パターン

  • 【自然に暮らせる居場所をつくる】

    それぞれの思い / これまでの習慣 / ぬくもりとこだわり /
    ライフストーリー / 役割をつくる / これからの生き方 /
    ちょっとした冒険 / つながるきかっけ / 笑顔が生まれる場

  • 【地域・社会に根ざす】

    地域にひらく / いきいきとした姿 / 受け取り応える /
    来たくなるしかけ / 巻き込まれ上手 / 地域のお祭り /
    自分たちなりの貢献 / これまでにない試み / うれしい出来事

  • 【そばに居続ける】

    自力の見守り / 「これがいい」と思う手助け / 見えない時間 /
    本人の世界 / 言葉のチューニング / 弱さの受け止め /
    支え抜くチーム / 変わらぬ関係 / 何もしないという支援 /
    お迎えの予感 / お別れ会 / 向きあう時間

『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』(金子 智紀, 井庭 崇 著)

必ずしもすべてやらなければならないわけではありません。

自分と重ね合わせ、「これはやってみたい」と思うものを見つけ、その内容を日々の行動に取り入れてみたり、誰かと話したりしてみてください。そのような個人的な使い方以外にも、施設内外の研修等で、また関わる人同士で話しあう際にお使いいただくこともできます。「ともに生きることば」をもとに、高齢者ケアでのさまざまな新しい取り組みが生まれていくことを願っています。

ともに生きることば<カード>

  • ・高齢者向けホームをつくり運営する人と、そこでケアに従事する人を主な対象として、そこで過ごす方々と「ともに生きる」ホームを実現するための秘訣を30枚のカードにまとめたものです。
  • ・カードはA6(105×148mm)でコーティングがされており、繰り返しの使用が可能です。 ケースと説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
  • ・ケース(9.7×13×1.6cm)と説明書、振り返りワークを促す4枚のワークカードのセットです。
  • ・書籍版「ともに生きることば」(丸善出版)の内容を対話用に抜粋したものです。複数人で対話について考えていく用途に適しています。

『ともに生きることば:高齢者向けホームのケアと場づくりのヒント』(金子 智紀, 井庭 崇 著)