伝説の高校教師たちから学ぶ、アクティブラーニング時代の指導のコツ。

伝説の高校教師たちから学ぶ、アクティブラーニング時代の指導のコツ。

  • 子どもが、勉強は嫌で苦しいものだというイメージをもってしまっている。
  • きちんと改善点を伝えようとすると、子どものやる気がなくなってしまうことがある。
  • クオリティや目標を高く持ち続けてもらうことができない。

「アクティブ・ラーニング支援パターン(ALP)」は、生徒・子どもが主体となる学びをするために教師ができることを45のことばにまとめたものです。通称「ALP(エーエルピー)」(Active Learning Pattern)と呼ばれ、高校での先生方の対話、県による教員向け研修、教育学部での学び・対話のツール、教員免許更新講習での対話ワークショップなどで使われています。
学校教育における教師のコツとして書かれていますが、学習塾講師や保護者をはじめとして、子どもの学ぶ意欲を育てたいと考えている方であればどなたも参考にしていただけます。

どうすれば子どもが「学びたい」と思うだろう?アクティブラーニングを実践する先生たちに聞いた45の秘訣。

人は自分の知っていることを「教えよう」としてしまいがちですが、ALPに表れる先生たちの秘訣は、それとは違うアプローチを取っています。授業を「先生が教える場」ではなく、子どもの発見の機会をつくり、気付きに寄り添っていくために使う。その考え方や授業での工夫、また教師としての自分自身の高め方などが、3つのカテゴリー「A.学びたい心を見つけ、育てる」「B.一段上へ引き上げる」「C.ともに高めあい、変わり続ける」に分かれて15個ずつ紹介されています。

各パターン(コツ)は、やや抽象的に書かれていますが、それは使う人の個性や、生徒・子どもの状況に合わせて具体的なやり方を考え出していく余地を残しているためです。「そうなってしまいがち」な状況に対して「どうしたら・どう考えたらよいか」が示されていますので、「自分ならば具体的にはどうできるか」と考え、実践してみてください。

初めから全体を理解し、すべてを実施する必要はなく、部分的に小さな動きを取り入れていくうちに子どもの学びがアクティブ・ラーニングに近づいていくようにできています。子どもの反応や発達段階・学習状況などに合わせながら、次第に実践パターンを増やしていけると、いろいろなことがつながり始め、徐々に全体が変わっていくことでしょう。

子どもが活発に学び合う教室をつくっていきたい教育者、子どものやる気を引き出したい保護者の方は、ぜひお手に取ってみてください。

校種問わず全ての教職員・中学、高校の生徒にお勧めしたい。

所属している学校の校内研修での対話で使っています。

「自分が子どもと学ぶ中で大切にしていること」を考えるために、自分がしっくりくるパターンカードを一人一人が選び、そのパターンカードの具体例を示すところから始めたり、「自分が大切にしたいんだけど、難しさを感じている」パターンカードを選び、それについて他の人たちの考えを聞いたりしたりする際に活用している。一人一人が何となく考えていることを、具体的に想起し、言語化することにつながったり、その瞬間から意識して行動したりできるようになる。

例えば、ある人は、校内研修で《ポジティブなもやもや》が大切と考えている他の教職員の話を聞き、共感したことにより、「子どもたちが沈黙したり、上手くいかなくて試行錯誤している姿への見方・捉え方が変わった」と語っていた。他にも、校内研修で《おしゃべりの関係》が大切だと選んだ教員が、対話を通して「前からそう思っていたんだけど、自分のクラスの授業の話合いはフォーマルすぎたのかもしれないというように感じ、もっと子どもたちがおしゃべりのように話せるような場づくりを意識するようになった」と語っていた。

校種問わず全ての教職員・中学、高校の生徒にお勧めしたい。

30代/男性/小学校教員

  • 膨大な量を目の前にすると、子どもが意欲を失ってしまう。
  • 教えなければならないことが多く、新しいことを加えたくても隙間が見つけられない。

アクティブ・ラーニング支援パターン<カード>

「アクティブ・ラーニング支援パターンカード」は、45個のパターンが1枚ずつカードになっています。並べてみたり、動かしたりできるため、自己分析や対話用のツールに向いています。

  • アクティブラーニングを引き出す指導のコツを45個のことばでまとめた45枚組のカードセット。
  • カードはB7版(91mm×128mm)で紙製の箱入り。ワークカードと使い方説明書付き。
  • カードはコーティング加工されているため、ワークショップ等での繰り返し使用に適しています。

アクティブ・ラーニング支援パターン<ブックレット>

「アクティブ・ラーニング支援パターンブックレット」は、45個のパターンの内容を詳しく知ることができる冊子です。「先生語録」コーナーでは、実際の授業でどのような工夫をしているかを先生の語り言葉で読むことができます。ひとりで読み進めたり、ALPカードを使った対話を豊かにする追加情報としてお使いいただけます。

  • アクティブラーニングを引き出す指導のコツを45個のことばでまとめたALPの詳細冊子。
  • A5(148 mm x 210 mm)230ページ。
  • 45パターンの詳細説明・先生語録(エピソード集)・ALPの使いかた・パターンランゲージの解説が載っています。

収録パターン

  • 【A 学びたい心を見つけ、育てる】

    学びの主人公 / 同じ側に立つ / 未来への広がり /
    おしゃべりの関係 / なじみのチーム / 自然な動き /
    心が動くこと / 好きの深掘り / 考えの可視化 /
    グッド&ベター / 視点のアップグレード / つながる感動 /
    全体のなかの位置づけ / 意図の共有 / 夢への対話

  • 【B 一段上へ引き上げる】

    学び方を学ぶ / 疑問をもつ力 / 達成への粘り /
    楽しい入口 / とっつきやすい課題 / いろんな参加 /
    探究の道具 / 概念の体験 / ポジティブなもやもや /
    挑戦への着火 / 晴れ舞台をつくる / 超えるべきライン /
    自分で決める経験 / 成長への糧 / リフレクション・ダイアローグ

  • 【C ともに高めあい、変わり続ける 】

    学び続ける教師 / 世界への接点 / 自分なりの哲学 /
    余裕をつくる / 自分のワクワク連続的な実施 / まずやってみる /
    その場でのアレンジ / 技のストック / 一緒に改善 /
    場を変える / 想定外の取り込み / 学びの編集者 / ケーススタディ・カフェ / 教科間コラボ / 個性の集まり

よくある質問

Q.「アクティブ・ラーニング」って何?

学び手(こども)自身が考え、頭を動かしながら新たな知恵や知識を得ていくような学び方をさして使われる言葉です。日本で長らく主流にあった学びは、知る(覚える)べき知識を指導者が伝え、子どもはそれを暗記したり使えるようにしたりしていくという、いわば子どもにとっては受動的なスタイルでした。ところが、時代が変わり、それでは今後必要な力がつかないということで、2014年に教育指導要領に「アクティブ・ラーニング」というこの言葉が登場し、以降、頻繁に使われるようになっています。子どもたちが「アクティブ」(能動的)な学び方という意味合いで使われます。

現状は、どのような学び・どのような教育をもって「アクティブ・ラーニング」とするのかという実践例(こうすればよいという具体案)として一般的に共通する認識は生まれておらず、それぞれで模索しているという状況です。

Q.「アクティブ・ラーニング支援パターン(ALP)」はなぜできたの?中身は誰が決めたの?

国の掲げる教育改革方針を受け、現場での具現化をサポートできないかという意図でつくられたものです。新しい学びを生み出すために、教育を変えなければいけないということは確かにそうなのですが、では「どう変えたらよいのか」については、各自で試行錯誤をしていかねばならない状況がありました。先生たちも、アクティブ・ラーニングの方法の中で育ってきたわけでもないため、これまで長らく取ってきた方法を変えて各自で新たにつくっていかなければいけないというのは、なかなか難しいものです。考える力に重きをおきつつも、入試では依然として知識の量が求められたりすることも、難点のひとつとしてありました。

そのままでは改革がうまく進まないのではないかという懸念からALPは生まれました。パターン・ランゲージを使えば、すでにアクティブ・ラーニングを実施している先生たちの知見を、これから取り組む全国の先生方に届けられるのではないかということで、ベネッセコーポレーションとクリエイティブシフトで共同開発を行いました。

高校教育現場に詳しいベネッセが選出した、生徒主体の学びを実施し成果を出している(子どもたちがいきいきと学び、発表などによって成果がカタチになっている)先生方からインタビューをし、そこで行われていた教育の中身を抽出して言語化したのがALPです。集まった先生方の属性は、理系・文系、公立・私立、高校・高専、北海道から九州、校長先生から若手までと様々で、幅広い知見が入っていますが、どなたか単独でしか行われていないものはなく、複数人に共通する本質を取り出しています。
*何人かの先生は制作過程にまで参加してくださり、愛情たっぷりのパターン・ランゲージに仕上がりました。先生方の具体的な取り組みは、冊子版の「先生語録」に収録されていますので、ぜひお楽しみください(ALP冊子は2020年秋ごろより販売開始予定です)。

Q.教科が違ったり、学年が違ったりしても一緒に話せますか?

はい。「教科や学年が違う先生たち同士で、話し合うことができる」ということが、先生たちにとってはまず一番の大きな驚きだとお聞きしています。授業で何をしているのか・どんな課題やテストをしているのかということの背景にある本質をつかんだ上で、具体的な工夫について話しあうことができますので、他の教科でされていることから新しい発想を得られることも多いようです。

また、若手の先生が、このカードをもって話を聞きに行くとベテランの先生がいろいろと話してくれたり、自分の思いも分かってもらえたりしたと話しておられました。先生方は「子どもの良い学びをつくりたい」という想いを共通してお持ちなので、このカードで論点を合わすことで、様々な経験を持ち寄ってスムーズに話し合うことができるようです。

Q.家庭ではどのように使えばよいのでしょうか。

教科の知識を直接教えることは少ないとしても、子どもの学びを支えるために親ができることは多くあります。ですが、教育のプロではない分、子どものやる気を失わせるようなかかわりをしてしまうこともあるかもしれません。そんな中で、子どもの自主的な学びを引き出している先生方が、どのような視点で子どもを見て、日々の学びにかかわっているのかを知ることは親にとってもとても大きな学びとなります。専門的な本を読むのとは違い、カードは直感的に内容をつかむことができますので、サッと見て、今の自分に役立ちそうだというものを試してみると良いのではないでしょうか。

ALPを読んでいると、勉強の面だけなく、学外での学びにおいても、子ども自身がもつ「もっと知りたい」「できるようになりたい」という気持ちを伸ばしていくことがとても大切なことに気付かされます。子どもが楽しい・知りたいと思う気持ちを見つけて、それを伸ばしていくという点で、先生方が教室しているコツは、そのまま家庭で自分ができることに読み替えることができます。
家のことを何か一緒にしたり、子ども自身が新しいことにチャレンジする機会があったり、これまでより少し難しいことを考える時期が来たり…、親としてどうするのがよいかと考える瞬間は多くあります。そのようなときにALPを参考にすると、子ども自身の気持ちがエンジンとなって適切なステップをつくりながら動いていけるようなかかわり方を見つけられるのではないかと思います。
ミラパタと合わせて読むのもおススメです)

教科や学年、生徒の関心事の違いを超えて見つかった確固とした「型」をまとめることで、どのような学校・先生でも使っていただけるものとなりました。

教育改革の議論の中では、知識を詰め込むスタイルから、子どもが考えることを主体とするスタイルへの移行が一貫して唱えられています。中でも2014年にそのような学習が「アクティブ・ラーニング」として学習指導要領の中に加えられてからは、加速度的にこの言葉が使われるようになりました。ただ、子ども主体の学びへの変革は幅広く受け入れられつつも、公的教育において「子ども主体の学びをどうやって実現するのか」は、今もなお模索が続いています。

本作は、目指すべき概念をどうやって実現するかについてを一歩進めるため、クリエイティブシフトとベネッセコーポレーションの共同制作によって作られました。教育が変わっていくことに期待を持ちつつも、すべての教育現場でスムーズに実施されていくことが難しいのではないかと懸念されたためです。

そこで、すでに子どもの意欲を引き出し、実際に成果を上げている先生方にご協力をいただき、その方々が日頃していることをインタビューし、複数の先生に共通する考え方をパターン・ランゲージとしてまとめました。ご協力いただいた先生は、様々な地域の公立・私立の高校や高専の先生方で、教科もバラバラです。しかし、教科や学年、生徒の関心事などの幅を超えて共通する「型(パターン)」をまとめることで、本作は、どのような学校・先生でも使っていただけるものとなりました。高校の先生から抽出されたコツですが、小学校~大学まで、また家庭でも十分に参考になるものです。

子どもには、自分に必要な知識を自分で学び続けられる人になってほしい。

「教える」「学ぶ」「育つ」「育てる」…教育はこれらの組み合わせですが、とくに勉強を教えようというときには、一生懸命になっているのは教師や親で、子どもは受け身になっている…ということがしばしばあります。親世代が受け、馴染みのある「詰め込み型」の教育は、当時には適していたのでしょうが、現代においては変わる必要があると言われています。今後は、知識を多く覚えていたり、すでに解が分かっている問題を素早く解けたりしても、立ち向かえない課題が増えてくるでしょう。従来の教育で重視されてきたことが不要だというわけではありませんが、重点が変わってきているのです。子どもは、学んだことを実際に使って何かを解決したり、新しい視界を得られたことに感動したりする経験を経て、自分に必要な知識を自分で学び続けられる人になっていかなければならないのではないでしょうか。

教育というテーマは、検証に時間のかかるもので急速に変われるものではありませんが、小さなトライアルをして手ごたえを確かめながら、変化をつくり続けなければなりません。ALPは、変わる方向性の理想論ではなく、従来の学校教育も受け継ぎつつ新しいことも融合しなければならない、そういった悩ましい現場環境も踏まえたものとなっています。子どもたちがいきいきと学べる環境にシフトしていけるよう、先生方・学外で子どもの力を引き出そうとされている方々に、ALPをご活用いただけると嬉しいです。

アクティブ・ラーニング支援パターン<カード>

「アクティブ・ラーニング支援パターンカード」は、45個のパターンが1枚ずつカードになっています。並べてみたり、動かしたりできるため、自己分析や対話用のツールに向いています。

  • アクティブラーニングを引き出す指導のコツを45個のことばでまとめた45枚組のカードセット。
  • カードはB7版(91mm×128mm)で紙製の箱入り。ワークカードと使い方説明書付き。
  • カードはコーティング加工されているため、ワークショップ等での繰り返し使用に適しています。

アクティブ・ラーニング支援パターン<ブックレット>

「アクティブ・ラーニング支援パターンブックレット」は、45個のパターンの内容を詳しく知ることができる冊子です。「先生語録」コーナーでは、実際の授業でどのような工夫をしているかを先生の語り言葉で読むことができます。ひとりで読み進めたり、ALPカードを使った対話を豊かにする追加情報としてお使いいただけます。

  • アクティブラーニングを引き出す指導のコツを45個のことばでまとめたALPの詳細冊子。
  • A5(148 mm x 210 mm)230ページ。
  • 45パターンの詳細説明・先生語録(エピソード集)・ALPの使いかた・パターンランゲージの解説が載っています。